<Header>
<Author: 白居易>
<Title: 新樂府 李夫人	鑒嬖惑也>
<Format: 格式不明>
<Year: 1964>
<BookName: 漢詩大系  白樂天>
<Translator: 田中克己>
<style: 現代文無假名>
<style2: 日本現代譯文無假名標注>
<TranslatedTitle: 李夫人>
<BookPage: 95-99>
<UsedPage: 5>
<Feature: 1, 4>
<End Header>
<Poem>
漢武帝，
初喪李夫人。
夫人病時不肯別，
死後留得生前恩。
君恩不盡念未已，
甘泉殿裏令寫真。
丹青畫出竟何益，
不言不笑愁殺人。
又令方士合靈藥，
玉釜煎鍊金鑪焚。
九華帳深夜悄悄，
反魂香降夫人魂。
夫人之魂在何許，
香煙引到焚香處。
既來何苦不須臾，
縹緲悠揚還滅去。
去何速兮來何遲，
是耶非耶兩不知。
翠蛾髣髴平生貌，
不似昭陽寢疾時。
魂之不來君心苦，
魂之來兮君亦悲。
背燈隔帳不得語，
安用暫來還見違。
傷心不獨漢武帝，
自古及今皆若斯。
君不見穆王三日哭，
重璧臺前傷盛姬。
又不見泰陵一掬淚，
馬嵬坡下念楊妃。
縱令妍姿豔質化爲土，
此恨長在無銷期。
生亦惑，
死亦惑，
尤物惑人忘不得。
人非木石皆有情，
不如不遇傾城色。
<End Poem>
<Translation>
漢の武帝は李夫人をうしなって哭された。夫人の病気の時にはどうしてもそばを離れようとしなかったが 死んでからも生前のおなさけを忘れられなかった。おなさけがなくならないので思い切りがつかず 甘泉殿に肖像をかかせておかれた。絵にかいたってなんの役にたとう ものもいわねば笑いもしないでひどく悲しませるだけだ。だのにまた方士に霊薬を調合させた。玉の釜で煎じたり鍊ったりし黄金の炉でたかせた。花もようのとばりの中へ夜ひそかに 反魂香のおかげで夫人の魂がおりて来た。夫人の魂のおりて来た場所はといえば 香の煙にみちびかれて香をたくところへだ。しかし来たかと思えばなぜかしばらくもとどまらないで あるかないかに見えたかと思うとまた消えてしまった。消え去るのの早いこと、来るののおそいこと その姿もほんとかどうか見さだめもつかなかった。しかし美しいみどりの眉は生きていた時そっくりで 昭陽殿で病気でねていた時とはちがっていた。そういうわけで武帝は魂の帰って来ない時はくるしみ 魂が帰って来てからもかなしまれた。灯を背にし、とばりをへだてては話もできず これならちょっと来てまた去る必要もなかった。 このように心を傷ましめるのは漢の武帝にかぎらない 昔から今日まで寵姫をうしなったものはみなそうだ。君は知っていよう、周の穆王は三日のあいだ哭し 重璧台の前で盛姫の死をかなしんだことを。また君は知っていよう、唐の玄宗皇帝が一掬の涙をそそいで 馬嵬坡の路べで楊貴妃をしのんだことを。たとえ美しい姿やあでやかなからだは土に化しても こがれる情は永久に消えるときがないのだ。生きているときも惑わし、死んでもまどわして 美人は人をまどわして忘れなくさせる。人間は木でも石でもなく情があるので いっそ傾城の美になどあわない方がましだ。
<End Translation>
<Formatted Translation>
漢の武帝は李夫人をうしなって哭された。
夫人の病気の時にはどうしてもそばを離れようとしなかったが 
死んでからも生前のおなさけを忘れられなかった。
おなさけがなくならないので思い切りがつかず 
甘泉殿に肖像をかかせておかれた。
絵にかいたってなんの役にたとう 
ものもいわねば笑いもしないでひどく悲しませるだけだ。
だのにまた方士に霊薬を調合させた。
玉の釜で煎じたり鍊ったりし黄金の炉でたかせた。
花もようのとばりの中へ夜ひそかに 
反魂香のおかげで夫人の魂がおりて来た。
夫人の魂のおりて来た場所はといえば 
香の煙にみちびかれて香をたくところへだ。
しかし来たかと思えばなぜかしばらくもとどまらないで 
あるかないかに見えたかと思うとまた消えてしまった。
消え去るのの早いこと、来るののおそいこと 
その姿もほんとかどうか見さだめもつかなかった。
しかし美しいみどりの眉は生きていた時そっくりで 
昭陽殿で病気でねていた時とはちがっていた。
そういうわけで武帝は魂の帰って来ない時はくるしみ 
魂が帰って来てからもかなしまれた。
灯を背にし、とばりをへだてては話もできず 
これならちょっと来てまた去る必要もなかった。
このように心を傷ましめるのは漢の武帝にかぎらない 
昔から今日まで寵姫をうしなったものはみなそうだ。
君は知っていよう、周の穆王は三日のあいだ哭し 
重璧台の前で盛姫の死をかなしんだことを。
また君は知っていよう、唐の玄宗皇帝が一掬の涙をそそいで 
馬嵬坡の路べで楊貴妃をしのんだことを。
たとえ美しい姿やあでやかなからだは土に化しても 
こがれる情は永久に消えるときがないのだ。
生きているときも惑わし、死んでもまどわして 
美人は人をまどわして忘れなくさせる。
人間は木でも石でもなく情があるので 
いっそ傾城の美になどあわない方がましだ。
<End Formatted Translation>